ワキガ手術の悩み 術後臭ってなに?

術後臭とは

術後臭とはワキガ手術をしたあとワキガ臭以外の別のニオイの体臭が強くなったり、脇以外の汗腺からの汗が増加して体臭がキツくなる現象のことです。
ワキガ手術の後遺症、副作用と考えられています。主な術後臭発生部位は胸、首、背中、後頭部、額など。

ワキガ臭の原因であるアポクリン汗腺を取り除いたことで脇以外の汗腺が活発になるためだと考えられています。背中や頭皮にあるエクリン腺からの異臭、皮脂臭がキツくなって手術する前よりも自分の体臭が酷くなったと感じる人もいます。
また、脇のアポクリン汗腺を取り除いたことで乳輪や陰部などにあるアポクリン汗腺が活発化してワキガ臭が強くなるとも言われています。

術後臭は医学的にはあり得ない

インターネットで「術後臭」と検索すると様々な部位から発生するニオイの体験談や周囲の人間の咳払い、鼻すすりに耐えられないなどの記述が数多くあります。
このように現実に術後臭を感じている人はとても多いのですが、医学的にはあり得ない現象とされています。

その理由としては大きく分けて3つあります。

    • ワキガ手術ではワキガ臭の原因となる物質を作り出しているアポクリン汗腺そのものを取り除くため、そのワキガ臭の原因物質が別の場所の汗腺に移動して分泌されるなどということは医学的にあり得ない。

 

    • アポクリン汗腺とエクリン腺は汗を出すという機能は同じだが、全く別の組織として独立している。汗の成分もそれぞれの汗腺を支配している神経も違うため、ワキガ手術でアポクリン汗腺を取り除いたからといってエクリン腺からの汗が増加することは医学的にはあり得ない。

 

  • アポクリン汗腺を摘出したからといって全く別の部位に新しいアポクリン汗腺が形成されたりエクリン腺が増えるなどの現象は人体ではあり得ない。

このような理由から「術後臭」は医療者の間では都市伝説のような扱いになっていることもあります。しかし術後臭で悩んでいる人がいるのは確かです。
術後臭がアポクリン汗腺の取り残しや再発と違うところは術後臭を訴える人が「ワキガ臭とは別のニオイが強くなった」と言っていることです。
これは本人がもともと悩んでいたワキガのニオイが取り除かれたことで今度はエクリン腺や皮脂腺からのニオイを強く感じるようになった事が考えられます。
ワキガ臭はツンとした独特の刺激臭で他の体臭と比べても非常に強いニオイなのです。ワキガ手術でワキガ臭が減少すると隠れていたエクリン腺からのニオイや皮脂腺からの油っぽいニオイが途端に鼻につくようになるのです。

人間の感覚とは不思議なもので本人の気持ち次第で特定のニオイだけ強く感じるようになることもあるのです。例えば鼻の整形手術を受けた人が今度は顔の輪郭が気になり始め、そこばかり目にとまるようになるような現象です。
人間は1つのことに集中するとそれ以外があまり気にならなくなりますが、悩みが解消されても他の部位に意識が移ってしまう事が多いようです。

自己臭恐怖症

特にワキガ手術を決断するほどワキガで悩んでいる人は「自分は臭い」、「周りに匂っていないだろうか」、「自分で気づいていないだけかも」などと思いがち。エスカレートすると「自己臭恐怖症」という精神的な問題へと進化してしまうのです。
このような人はワキガ手術が成功しても常に匂っていないか脇をクンクンしてニオイを探してしまいます。周囲の人の仕草に過剰に反応して不安になります。完璧主義、几帳面な人が陥りやすく、ワキガ手術で100%のニオイが1%になったとしてもその1%のニオイが許せない、完治していないどころか別のニオイも感じるようになったと思ってしまいます。
こうなると精神科の領域なのですが、本人は体臭が酷いと思っているのでワキガの再手術や他の治療法を求めて病院を変えたりします。

このようなことを防ぐためには本当に悩んでいる本人がワキガ体質なのか、ワキガ体質であってもワキガ臭と他の体臭との区別が付いているのかをハッキリさせてから治療することをおすすめします。
一部の美容外科などでは利益優先主義のところもあり、本人がワキガ体質ではなくても「ワキガ手術をしたい」と言われたら手術してしまうこともあるのです。
ワキガ手術の中でも健康保険が適応される剪除法手術はガーゼを脇に当てて医者がニオイを確認する、脇が黄ばんだ服を見せるなどのワキガ体質の確認があります。最近では美容外科でも健康保険対応の手術をしているところが増えてきました。
ワキガ手術を考えている人はきちんと検査や説明をしてくれて、メリットだけでなくデメリットも説明してくれる医師がいる病院を選ぶようにしましょう。